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主としてアンケート調査で得られたデータを分析することを通じて、電機産業の雇用構造の多様化の実態を明らかにし、あわせて非正規労働者(パートタイム労働者、派遣労働者、請負労働者など)の割合や組み合わせがどのような要因によって規定されているのかを推測することにある。
パート労働者に代表される非正規労働者の増加にともない、これにかかわる多くの調査研究が蓄積されてきた。 パート労働者の就業行動の規定要因の分析や企業におけるパート労働者の戦力化・基幹労働力化の事例分析などがその代表的研究例である。
しかしながら、このような研究蓄積にもかかわらず、今日なお補われる必要のあるいくつかの課題が存在するように思われる。 第1に、これまでの非正規労働者研究の多くは、就業者の多い小売業やサービス業を対象にしたものが多い反面、製造業に関する分析が不足している。
小売業やサービス業と並んで就業者数の多い製造業の分析の不足は埋められるべき課題の一つであろう。 第2に、製造業のなかでも、織烈な国際競争にさらされている業種分野における非正規労働者活用の実態解明はさらに乏しいと思われる。

その意味で、生産のグローバル化や市場競争の激化を背景に、需要の変動幅の増大と、多品種少量生産化が一段と加速している電機産業分野での非正規労働者活用はどのようなものかを現時点で把握しておくことは、今後のこの業種分野以外での動向を占ううえで大きな意味をもつと思われる。 第3に、非正規労働者にもパート労働のほか派遣、請負といった多様な労働者が存在しているが、それぞれの雇用。
活用理由は微妙にあるいは相当に異なっていることが予想される。 パート労働者、派遣労働者、請負労働者がそれぞれどのような理由で雇用。
活用されているのかを分析する必要があるだろう。 第4に、非正規労働者の雇用。
活用の労使関係的視点からする解明である。 これまで非正規労働者の増加は、労働供給側の理由と需要側の理由のマッチングから説明されてきたが、労働組合のスタンスといった要因も考慮しておく必要があるだろう。
第1に、正規・非正規の割合や組み合わせは、企業の製品市場のありかたや技術特性によって影響を受けていると考えられる。 例えば、主要製品が受注生産主体で製造されるのか、見込み生産主体であるのか、業務にかかわる技術は先端技術なのか、成熟した技術なのか、あるいは業務の需要の変動幅が大きいのか小さいのか、競争が激しいのかそうでないのか、といったちがいは、いずれもこの要因群に括られよう。
第2に、正規。 非正規の割合や組み合わせは、労働市場の逼迫の度合いによっても影響を受けると考えられる。

正規従業員を確保したくても採用が困難であれば、非正規への依存が強まろう。 同じことがパートや派遣、請負についてもあてはまる。
例えば、請負労働者を活用したくても、活用可能な地理的範囲にそうした労働力の給源がなければ、そもそも活用はできない。 第3に、正規。
非正規の割合や組み合わせは、主要業務のむずかしさによっても影響を受けているだろう。 特別の訓練や長い経験を要しない易しい業務が中心であれば、正規ではなく非正規でもこなせるので、非正規の割合を高めるにちがいない。
第4に、正規・非正規の割合や組み合わせは、労働組合の発言や関与によっても影響を受けるだろう。 正規従業員を組合員とする企業別組合を前提とすれば、組合の関心はなによりも正規従業員の雇用確保ということになり、非正規従業員の無制限的な雇用や活用は、正規の雇用を脅かす危険性をもつからである。
以上の枠組みと要因群の整理は、アンケート調査と並行して行なわれた聞き取り調査や先行研究からの示唆を踏まえたものである。 先行研究としては、例えば百貨店を事例にし、パートタイマーの職域を労使関係との関連で明らかにした佐野(2000)は、第1、第3と第4の要因を重視したモノグラフであり、全産業を対象に非正規化と外部化のメカニズムを事業所規模、事業所歴、サービス・商品提供に関する基本方針、採用・受入管理の分権化などの要因から解明した神谷(2000)は、第1と第3の要因群を指摘した研究である。
また、派遣社員の増加要因のうち需要側に着目し、労務費の節約、情報化・IT化などによる企業特殊的訓練の低下、労働投入の弾力化、解雇・雇い止めコストの安さなどから説明するA(2001)は、第1と第3の要因を重視するものといえる。 第1に、今回調査の対象になった事業所全体の非正規割合は平均すると17.5%であるが、その割合は事業所の従業員規模によって異なる。
規模では299人以下と500〜999人でその割合は2割をこえるが、1000人以上の規模になると13%程度に減少する。 第2に、非正規の割合は事業所の生産業態によっても差異がみられる。
電子部品やソフト開発といった分野では2割をこえるが、半導体・液晶、通信機・コンピュータといった分野では1割強の水準である。 第3に、非正規の内訳をみると、規模や生産業態によってちがいがあるが、全体では、請負がもっとも多く非正規の67.2%を占めており、派遣は18.2%、パートタイマーは14.6%と少ない。

いまや電機産業における非正規の内実は請負によって占められているといって過言ではない。 そこで次に、パート、派遣、請負の割合が従業員総数のなかでそれぞれどれくらいの割合を占めるのかをみておきたい。
事業所における非正規労働者の割合を雇用形態別にみたものである。 ここから、一口に非正規労働者といっても、活用する雇用形態によってその割合が事業所によって大きく異なっていることがわかる。
ここでは、パー卜、派遣、請負すべてのタイプを活用している事業所をI型、パート、派遣を活用している事業所をU型、パートと請負を活用している事業所をV型、派遣と請負を活用している事業所を1V型、パートのみを活用している事業所をV型、派遣のみを活用している事業所をY型、請負のみを活用している事業所をV11型、非正規を全く活用していない事業所をVlll型とそれぞれ区分し、類型化した。 ここから以下の点が指摘できる。
第1に、調査対象事業所のうち、非正規従業員をまったく活用していない事業所は、ごく少数であり、わずか8件にすぎない。 大多数は非正規を活用している。
第2に、非正規活用事業所のなかでも、もっとも多いのが、パート、派遣、請負の全てを活用している事業所であり(119件)、これに3タイプのうちいずれか2タイプ活用、単一タイプのみの活用事業所が続く。 このように、多くの事業所では、単一の雇用形態に限定せずに、パート、派遣、請負といった諸タイプを複数組み合わせて活用している。
非正規労働者を構成するそれぞれの雇用形態の活用に際してどのような変数が影響をもつかを探ろうとする本章のねらいからすると、この7〜8類型を軸にした分析はたしかに意味をもつと思われる。 例えば、パートを活用している事業所と活用していない事業所を比べて何が異なっているのかを知ることで、パート活用事業所の特徴を探ることはその一方法である。
しかし残念ながら、この類型区分ではサンプルの小さい類型の場合、分析に耐えるサンプル数が十分確保できないケースが生じてしまう。

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